コンテント
2022年10月10日(月・祝)ガレリアかめおか2階大広間にて開催されました第85回コレージュ・ド・カメオカにて、Office Com Junto(オフィス・コン・ジュント)が第21回 生涯学習共生賞「上田正昭賞」を受賞しました。
授賞式でお話したことに、加筆しまとめてみました。
生涯学習共生賞「上田正昭賞」を受賞して
Office Com Junto(オフィス・コン・ジュント) 代表 児嶋きよみ
「このたび、第21回生涯学習賞(令和3年度)の共生賞「上田正昭賞」をいただき、ありがとうございます。
(オフィス・コン・ジュント)という名前がポルトガル語から来ているという説明がありましたが、では、なぜポルトガル語なのかと思われた方も多いと思います。実際に、オフィスは、英語ですが、(コン・ジュント)は、ポルトガル語です。実は、1985年から、夫がブラジルの日本人学校に赴任したときに、娘2人と共に家族4人でブラジル第3の大都市のベロ・オリゾンテという街に3年間住んでいました。その時に学び始めたポルトガル語が、母音がくっきりしていてとても好きになり、真剣に学びました。帰国後もどこかで使いたいと思い、自分の活動団体の名称に付けました。
コン・ジュントというのは、「~と共に」という意味です。
このオフィス・コン・ジュントは、大きく分けて3つの活動をしています。
1.ひまわり教室
外国につながりを持つ子どもさんや家族の学習支援活動。2014年から始め、9年目になります。
2.Global Session(グローバルセッション)
宮前町にある交流会館で、亀岡市交流活動センターの仕事をしていた1999年から、開始しました。
月に一度ゲストを呼び、コーディネーターと共に、少人数でセッションをするという活動です。「自分の意思を他に伝える力」と「他の人の話に耳を傾け聞く力」を英語で付けようと始めました。私が停年退職後の2011年4月からは、オフィス・コン・ジュント主宰で継続しています。すでに、20年を越えていることになります。
最近は、外国出身の参加者も多く、日本語が共通語となって来ているため、ほとんど日本語で話をしています。時には、亀岡国際交流協会のサポートも受け、大きな部屋で、人数も多くして開催することもあります。
2022年9月24日(土)の玉野井麻利子さん(UCLA名誉教授)をお招きして開催したGSは、355回目でした。
3.アメリカの姉妹都市であるStillwater市(オクラホマ州)の子どもたちとの、「子どもアートプロジェクト」
互いの街の子ども達のアート作品を交換するプログラムです。2012年夏の「旅するドラゴンプロジェクト」以来、2019年度の「旅するいのししプロジェクト」まで、講師を招き、大きな和紙に墨でその年の干支を描くというやり方で、その上に、保育園や小学校からの作品を入れ、Stillwater市に送り展示をしてもらいました。亀岡市でもStillwaterの子どもたちの大きな模造紙作品を同時に展示し、見る会を続けてきました。コロナ禍で、2019年度からは、ストップしています。
このようなアメリカの姉妹都市とのつながりができたのも、実は1990年に亀岡の宮前町に開講したオクラホマ州立大学京都校(OSU-K)があったからです。私もこの大学の職員として勤務し、1996年の閉校後は、亀岡国際センター・亀岡交流活動センターと続き、現在は、交流会館として、こども村プロジェクトなどが継続しています。このOSU-Kは、1年間をOSUの英語集中課程で学び、2年目、3年目を亀岡で学び、次の学年から、個々の専攻するOSU本学の学科に進学し、5年間で卒業するというプログラムでした。この6年間で200名ほどの卒業生がいますが、帰国したり、そのままアメリカの大学院に進み、大学の教授になった人もいます。私は今もこの卒業生たちと交流があり、大抵、フェイスブックでやりとりしています。2001年からは、OSUの造園建築学科の海外研修プログラムが始まり、亀岡を拠点(ゲストハウス藤原邸)に大阪や京都市内の造園見学を兼ねた2週間ほどのプログラムの受け入れをしてきました。
このプログラムは2012年の担当教官(Paul Hsuさん:台湾出身・OSU教授)の退職後、中止になっています。この間、亀岡造園組合青年部との交流が始まり、青年部のメンバーがOSUに日本庭園作成に赴き、今もOSUには、日本庭園が整備されながら、あります。このメンバーの中には、現亀岡市長も含まれています。
1のひまわり教室について
2014年から、亀岡市や南丹市に住む外国人の保護者を持つ子どもたちの「宿題を見る」ということで、2家族(3人の子どもたち)で馬路文化センターで数人のボランティア指導者と共に始めました。最初は、保護者は入っていなかったのですが、「自分たちも日本語を勉強したり、学校のことを聞きたい」という要望があり、「では、保護者もいっしょに勉強しましょう」ということで、指導者の募集もし、始まりました。その後、子どもたちも増え、もっと市の中心部でやろうということで、法華寺さんを借り、2つの場所で数年続けました。途中、駐車場の不足もあり、大本愛善苑さんでコロナ禍になるまで、月にそれぞれ3日間、2箇所で2019年まで続けました。コロナ禍で学校が休みになったりして、現在は、ガレリア3階の部屋を借り、1箇所を月に2回日曜日の10:00~12:00に活動しています。子どもさんは、常時来る子は、2022年10月現在は、5名ほどで、保護者は、4名か5名です。指導者は、元学校の教師だけではなく、本の読み聞かせ担当者や、書道指導者、絵本作家などさまざまです。
現在、亀岡市には、外国籍の方が1000名以上(2021年12月末)と言われていますが、保護者のどちらかが、日本人の場合は、国籍は日本人が取れるので、「外国についながる市民」の数は、もっと増えるはずです。
なぜ、ひまわり教室が必要かというと、もし、みなさんが、ご家族といっしょに、ぽんと外国のある街に住みだしたと考えてみてください。子どもは学校に行き、日本語ではない言語で学ばねばなりません。自分もごみの出し方もわかりません。どうしますか?
現在、亀岡では、日本語がわかりにくい子どもさんには、母語支援員や学習をサポートする先生がつきます。でもずうっとではありません。子どもなら学ぶのも早いだろうという考えは昔からありましたが、全員がそうではありません。兄妹でもちがいます。例えば、子ども達は、夏休みになると、たくさんの宿題を持って帰ってきます。これを全部夏休み中に自分でやり、新学期には持っていかなければなりません。これは、普通だと思うでしょう?でもこのような休みに宿題が課される国はほとんどありません。どうして習字を書こうか、工作をしあげようか、迷ってしまいます。それで、ひまわり教室では、夏休みに入るとすぐに、「工作教室や習字教室」などを開き、あっという間に仕上げる日を作っています。早くに仕上げると、もう心配しなくてもいいからです。親も子も。
いつも10:00~12:00まで2時間を取っていますが、なかなか続きません。いっしょに、かるたをしたり、パソコンでの学習をしたり、気分を変えています。最後には毎回本の読み聞かせがあります。絵本なので、長い物語ではありません。それと、いろいろな国の話の絵本があります。
指導者の中には絵本作家さんがいて、大学の先生もおられるので、二人でお父さんやお母さんにインタビューをし、それを絵本にしました。ところが、印刷をするとたくさんのお金が必要になるので、電子絵本を考えました。ひまわり教室の電子絵本として、「たげんごオリジナルえほん」とYouTubeに入れて見てください。アラビア語と日本語の絵本、スペイン語と日本語の絵本、中国語と日本語の絵本が音声付きで出てきます。いつでも無料です。
このひまわり教室は、ずっと、毎回指導者から、レポートを書いて送ってもらい、編集してもう一度、次回までに児嶋が送ってきました。だれでも、次に、「誰に、どのように教え、どうのような反応があり、次の課題は何か?」を自覚してひまわり教室に来れるようにという意味からです。この蓄積があり、数年前の学習状況と現在を比較し、どのように伸びたかを見ることもできます。これも積もり積もった歴史と言えるかもしれません。
2のGlobal Sessionについて
Global Sessionも毎回、お知らせを150名ほどの会員にメール送信し、終了後はレポートを書き、これも送っています。2021年度から、児嶋のホームページもできたので、「児嶋きよみ・ホームページ」か、https://office-comjunto.comを見ていただくと、以前の内容も掲載しているので、見る事もできます。
外国出身のお母さんで、どこでも仕事をしていなかったりすると、とても孤独になります。
是非、ひまわり教室にさそって見てください。開催日は、以下のお知らせをご覧下さい。
ひまわり教室11月~12月の予定
11月の予定
11月6日(日) 10:00~12:00 ガレリア3階 会議室
11月20日(日) 上に同じ
12月の予定
12月4日(日) 上に同じ
12月18日(日) 場所:ガレリア1階 創作室 10:00~12:00
ひまわり教室クリスマス会&グローバルセッション(ブラジルのクリスマスの話)
ゲスト:テオ・ディアスさん(ブラジル出身・日本語学校学生)
ひまわりクリスマス会用の工作教室も(横井照美さん:指導)
Global Sessionの予定
10月30日(日)10:30~12:00
オジュグ・タデウシュ・アダムさん(ポーランド出身・大学講師)
「スラヴ諸民族の世界。現在を理解するために。」
コーディネーター:亀田博さん
11月20日(日) 10:30~12:00
サムエル・ジードさん(亀岡市国際交流員・カナダ出身)
「相手の視点から自分のことを思う」
海外に住みだした僕は一般的な普通の人ではないと分かっていて、そのことを意識しながら生活しています。文化の違いや人種の違いだけでなく、考え方の違いまたは、経験のふり返りなどをセッションで話し合いたいです。(サム)
12月18日(日)10:00~12:00 1階創作室で ひまわりクリスマス会と合同で
Teo Diasさん(ブラジル・サンパウロ出身・日本語学校学生)
1月:岡本 颯君(立命館大学生)
2月:濱田雅子さん (元武庫川女子大教授・アメリカ服飾社会史研究会会長)8月7日につづき24回目
3月:大野友アンドレアさん(ブラジル出身・箕面国際交流センター職員)
4月:王 森平さん(中国出身・外国人に仕事を支援するキャリアカウンセラー)
研修会の予定
第2回研修会:2023年1月28日(土)
外国につながる子ども・保護者のための居場所づくりを考える研修会
(オフィス・コン・ジュント&亀岡国際交流協会共催予定)
講師:清田淳子さん(立命館大学文学部教授)& 王植さん(オンラインでの外国につながる子どもの学習支援指導者&横浜市内の学校での学習支援者)