2023/02/08

2023年1月29日(日)第359回グローバル・セッション・レポート

開催後のレポート

開催日:2023年1月29日(日)13:30~15:00
場所:ガレリア3階 会議室
ゲストスピーカー:岡本颯さん(大学生)
コーディネーター:亀田博さん
参加者:10名

今回のタイトル:「近くて遠いコミュニケーション~現在のコミュニケーションはこれでいいのか~」

デバイスの感覚体験、隔たりのあるコミュニケーション(当日用資料)

私は現在大学一回生で、対面とオンラインの両方の形式で学校生活を送っています。コロナ期間中に増えた画面越しに遠隔で受ける授業にもかなり慣れてきました。気づけばスマホやPCといったデバイスは生活とぴったりとくっついていて、使いながら違和感もほとんど感じません。いつでもどこでも繋がれる環境をとても便利に感じると同時に、隔たりのあるコミュニケーションに依存することに、このままで本当にいいのか、という不安もいつも感じています。

世代によって、コミュニケーションに用いる媒体の種類は大きく異なります。この違いが私たちの認識や行動にどのような影響を与えているのか、参加者の皆さんの経験と意見を伺いながら考えてみたいと思っています。

1.背景

大学生のコミュニケーションの形(+少し前までのコミュニケーションの形)

  • 学校の授業
  • ZOOM・ Manaba+・→ 直接会わなくても講義や課題のやり取りが成立する。
  • 日々のコミュニケーション
  • SNS (LINE, Instagram, twitter, Zenly)

プライベート、位置情報→ 共有していることの数は多いけれど、共有できている「実感」が少ない。

議論

対面とオンラインは何が違っているのか?

質問

  • 10代のころの友人とのコミュニケーション手段は?
  • 今の若者のコミュニケーションへの印象
  • 画面越しのメッセージに感情や実体を感じるか

①情報量
②使う感覚 
対面:聴覚、視覚、嗅覚、触覚…オンライン:聴覚、視覚
③情報の特徴
対面:様々な要素が複雑に合わせられている → 間、表情、声質、抑揚、強弱、ジェスチャー、場の「空気」

オンライン:デザインされたコミュニケーション → なるべく綺麗にまとめる、会話が記録として残る(自動的な議事録・履歴)

〇感じること

  • 人によって得意不得意があるかもしれない
  • オンラインが自分たちの将来に及ぼす影響(感覚的な影響)
  • 対面で伝わる情報量(人間の圧倒的な情報量)はむしろオンラインより多い → 感覚に訴える情報の量はデバイスよりも対人の方が多い。

デバイス < 人

  • オンラインでは見せる情報を選べる→綺麗でミスのないコミュニケーションが多くなる→ 気を遣う→ 面倒になる

2.感覚体験と自己形成

質問

  • 「10代の経験が、残りの人生の感覚を決める」は本当か?
  • 母親と子どもの会話と発育→ 母親と子どもの会話の経験と同じような事?
    赤ちゃんに母親が話しかけることで、赤ちゃんは自己形成をしていく。
    幼少期の感覚体験がその後の人生の自己形成に大きく影響する

「感覚」というキーワード
オンラインで、社会と触れ合う→ 情報量は増えたのか、減ったのか

セッション開始

亀田さん(コーディネーター):今回は、359回目ですが、今までのGlobal Sessionで一番若いゲストだろうと思います。最年少で。私は、伝達の器具をアナログの世界で使って来ましたが、時代的にちがいがあるようですね。岡本颯君は、現在大学1年生で、立命館大学の学生ですが、少し前までは対面での授業ができない時期がありましたね。リモートやオンラインを使って来たと思います。自己紹介をお願いします。

E・Lさん:日本語か、英語かどちらで話しますか?私は、インドネシア出身のエニ・レスタリです。京都に住んでいますが、亀岡は第2の故郷のように、20年間くらい通っています。

今日は、颯さんの話を聞きたいと思って参加しました。自分の息子は颯さんより2才上で、若者の事を知りたいです。私は、大学でインドネシア語を教えていますが、そこの学生たちの気持ちも知りたいと。

E・Tさん:今年でGSは9年目です。京都府京北町に住んでいます。最近コロナにかかりましたが、何とか治って今日は、来られました。昔通っていた大学の環境ともちがって来たような気がして話をしたいと。

A・Oさん:初めて親子でGSに参加しました。個人では町内でいろいろな取り組みをしていますが、それに変化もほしいと、グローバルセッションの参加者にもお会いしたいと参加しました。いろいろと勉強して取り入れて行きたいです。

S・Oさん:Generation GAPをいつも感じています。ぼくのやっていることは。多分母はわからないと思います。レジタルをつかわないことも理由としてありますが。

僕自身は、できるだけ、PCから離れる時間を取りたいと思っています。やり過ぎるとメンタルをやられると思いますし、感覚のリサーチャーでもありますので。

N・Kさん:小学校の教員を退職してから、ひまわり教室の指導者をしています。オンラインで指導していて、携帯電話で図やプリントなども見ています。

最近、ZOOMで参加したのですが、自分が参加しているというよりは、会議を外から見ているような感覚を持ちました。

M・Tさん:半世紀の間、アメリカで学び、教えていました。今は、京都に住んでいます。

Z・Yさん:中国から日本に来て2023年で19年目になります。今は民際日本語学校からの派遣教師として、千代川小学校、亀岡小学校、大成中学校で中国人の子どもの母語支援をしています。

児嶋:1999年に亀岡市交流活動センターでGlobal Sessionを始めて20年以上になります。大体月に1回のペースで続けて来て、今回は359回目になります。

亀田さん:仕事はツアー・コーディネーターで、大津市に住んでいます。コロナ禍で、ツアーガイドの仕事もなかったのですが、ようやく外国人が入ってこれるようになりました。日本人が海外に行くのは、まだ少し、問題があるようですが。5月のゴールデンウイーク後は、外国人客は増えるかもしれませんが。でも物価が上がり、円高になれば飛行機が出ないかもしれません。

ゲストの岡本颯さんどうぞ。

岡本颯君:今、僕は19才で、2003年生まれです。亀岡に生まれ育ちました。高校1年生の時に、カナダに10ヶ月間留学しました。立命館宇治高校出身で、国際関係学部1回生でようやく春休みになったところです。

Global Sessionでどういうテーマにしようかと考えた時に、いろいろな世代の方が集まる場なので、世代のちがいが自覚できるテーマにしようと「コミュニケーション」についてを選びました。

現在、僕たちは、スマートフォンで友達とやりとりをするのは、当たり前ですが、それ以前のやり方とどのようなちがいがあるのか。また、そのちがいがこれから、どのような影響があると考えるか、みなさんのご意見を聞きたいと思います。

自分たちのコミュニケーションの形ですが、今は、教室でほとんどの授業がありますが、中には海外に居る先生とオンラインで授業があり、ある時期は、オンラインとオフラインが合わさっている時期もありました。もっとコロナ禍のあった高校2年のころは、1年生と2年生はZOOMなどのオンラインで、たくさんの経験をしました。

今は、課題が送られてきて、それを送付するには、〆切りがあり、0.1秒でも遅れたら受け付けができないなどの決まりがあります。教授からは、文字を通してコメントをもらうことが多くなり、コミュニケーションをとる機会は増えたのですが、さびしさも感じます。

日々のコミュニケーションは、SNSなどですばやくチャットでできますが、写真を送り、コメントをもらう機能もあります。プライベートを友達と交換することもできます。文字だけの方法もあります。登録すると、位置情報を共有できる方法もあります。

このような方法でのコミュニケーションで感じることは、どこでもつながれるし、どんどん便利になっていますが、直接のコミュニケーションを取ることが減ってきているので、実際に友達と会って話すと難しいと感じることがあります。直接会って、話す意味は何?と思うこともありました。

以前、コロナ禍で、2ヶ月間直接会わず、画面越しには話していたのですが、目を合わせても遠くに感じることがありました。それに、マスクなしの友達の顔を見ていないので、マスクをはずしても違和感がないか不安にもなりました。

自分の考えとしては、映像ではマスクを外していますが、伝えるのはdisplay越しに視覚と聴覚だけを使い、チャットでは視覚だけですし。実際に話すと、視覚、聴覚だけでなく、その他の五感も使っているのですが、それを使いなれていないのではないかと不安があります。

このようになぜ違和感があるのか、みなさんのご意見を聞いてみたいです。

児嶋:昨日、実は外国につながる子どもの学習支援をしている人たちの研修会を開催したのですが、その前の日に雪が降り、列車が動かず、車も停まる事件があったので、もし、雪でうごけなかったどうしようかと京都在住の大学の教授と話合い、ZOOMもありと思っていたのですが、横浜から来られる予定の中国人のゲストはZOOMはいやなので、開催するか、延期かどちらかにしたいと言われました。そのため、ぎりぎり当日の朝まで、するかしないかを迷っていました。実際に会ってみなさんと話をするという考えがとても強いひとだなあと思いました。

E・Lさん:息子が大学に入学した時、ちょうどコロナが始まり、入学式もありませんでした。自分の大学近くの自分の部屋にひとりで住んでいて、一日中、オンラインで授業があり、だんだん心が揺れ始め、「大学やめたい」と言うこともありました。2022年になってやっと対面での授業が始まり、友達もできて今は楽しくやっているようです。(3回生)

コミュケーションに関してですが、いくつかの大学でインドネシア語を教えていますが、オンラインで授業をしていますが、大学からの指示で、先生の顔は出して、学生のネット環境の負担にならないようにと学生にはカメラをオフにしています。ひとりでしゃべるばかりでした。

オフラインになっても、学生との間にアクリル板はあり、やりにくいです。フェイスブックもやっていますが、セキュリティの問題があります。3人ものアメリカ人から、「口座番号を貸して」などと言われたことがあります。インドネシアもハッカーが多いようです。

M・Tさん:さっき颯君に聞いたのは、「今は、どうしてラブレターを書かないの?」という事でした。

アメリカで教えて居たときに、成績がBやCになると、本人が抗議をしに教官のところに来ることがあります。話すと、自然にきついことばになってしまので、「どこが悪いかは書くので、それに自分の意見を書いて」と言っていました。そのあとで、学部長に判断してもらうようにしていました。ツイッターでは、しゃべることに中心がおかれすぎていると思います。コミュニケーションの仕方が難しいですね。でも、書いてあれば残るのですが。私は話すより書く方が好きな方で、今回はいろいろなコミュニケーションの方法があるのだと知りました。

岡本颯君:今までのこのようなコミュニケーションの方法はPositiveなのか、Negativeなのか、みなさんの印象はどうですか?

S・Oさん:このような方法をとり、テクノロジー空間の中で表現はできると思いますが、どうバランスを取るのかが、我々に求められているのではないでしょうか?僕はオフラインの方が得意ですが。

Z・Yさん:自分が10代や20代のころは、携帯もなく、直接会って話をして来ました。五感の動きを十分使って。2016年に1年間フィリピンに射て日本語を教えていました。それに対する感想などを投稿し、編集するシステムでしたが、いっしょに話をするとわかり合えるのに、メッセージだけではわかり合えないという感覚になりました。

岡本颯君:直接話すとすぐ返せるのですが、ラインだと返すタイミングは任されておいてもおけますが、失礼な場合もあるでしょうね。

N・Kさん:小学校の教員をしていたときに、1年生から6年生まで教えたことがありますが、先生と子どもが休み時間などで、いっしょに遊んでいるクラスは崩壊しないなと思っていました。子どもと仲良くなる方法として、遊ぶことにつきると思います。いっしょに笑っていっしょに遊び、子どもとの距離が近くなると思います。教育カウンセリングなどでも、子どもを見て、うなずきながら聞くという方法を勧めています。話している側が安心感を持つのですね。わざと横になって知らんふりをすると、聞いている方は、不安になります。

E・Tさん:コミュニケーションが現在の方法では、ネガティブになっていると思います。社会人は飲み会などで話をすることもあります。この間のような大雪になると、SNSは便利と思いますが。でも頼り過ぎると疎遠になるでしょうね。

M・Tさん:メタバースはコミュニケーションがないということですか?

岡本颯君:まだあまり浸透していないと思います。高校時代に、海外の人と交流するために、簡単なメタバースを使ってみましたが、バーチャル上に空間を作り、アクセスしたら、だれでも入って来れるのです。アバタを歩かせて動かすのですが。メタバース空間は、やはり距離が遠いと思います。発達するだろうとは思いますが、まだだれとでも共有しているわけではなく、質が低いと思います。

児嶋:私は、N・Kさんも含めて、5人の短歌会をしています。毎月3首の歌を作り私が編集してそれぞれに送り、その評をもう一度私に送り返し、最後に、それぞれの歌と5人全員の歌への評をつけて完成するというものです。でも一人はドイツに住んでいて、もう一人はブラジルにいます。この時代だからこそ、メールで送り、送り返しているので、コミュニケーションが可能なのだとその点は感謝していますね。

N・Kさん:短歌は「書く」だけでなく、そのひとの人となりや考えがわかり合うのですから、コミュニケーションのツールだと思います。

児嶋:別の場所にいても、そこにいるような感じになります。

亀田さん:私は、今もクリスマスカードを送り合うことをしています。バースデーカードも。メールではなく、手紙の手段を使って。物もつけて送っています。時間をかけてまた、返事が返ってくるのがいいとずっと続けています。年賀状も1年に一度ですが、いいですね。海外のひとも喜んでいます。スマートフォンは便利だけれど、漢字が書けないようになって来ているようです。脳も充実させる必要がありますね。情報が多すぎるとも言えます。この間大阪でコンサートがあり、帰りの電車で見ていると、90%以上がスマホを見ていますね。ゲームを見たり、テレビの番組を見たり、スマホを見ている時間が多すぎてストレスにもなっていると思います。

電話で話すと、声で状況がわかることがありますね。できるだけ実際に交流することが、コミュニケーションになると思います。ひとりでいる時間が多いと、鬱になり、生徒も先生もおたがいの顔を見ていない状況は、大変ですね。

岡本颯君:共有出来る感覚を持つことがいいですね。短歌は、五、七、五、七、七と字は少ないのに内容は充実感がありますね。やりとり出来るといいでしょうね。

S・Oさん:私は、ラブレターも書きます。いつ返事がくるだろうかと待つのも生きているという実感がありますから。

岡本颯君:手紙を出すと、自分で想像もできるので、いいですね。

亀田さん:ペーパーレスについても必要な時がありますね。航空券などもスマホで決済ができます。

壊れるとか、忘れるとかの情報処理の仕方も大切です。

Z・Yさん:Wifi環境の中では、何もできないことがないと思い込んでいる場合もありますね。

岡本颯君:速さだけを見たら、paperでない方がいいかもしれませんね。

亀田さん:FAXは私は今も使っています。そのまま原稿が来て使えますし、元が残ってもいます。

海外の三つ星ホテルには、FAXを入れると、口座を知らせるとリターンしてくれます。メールだと途中で盗まれる可能性もありますし。最近は、振り込め詐欺も多くなりましたね。

岡本颯君:もうひとつ聞きたいことがあります。

僕の父親が、「10代のころの経験がその後の人生に大きな影響を及ぼす」と言ったことがありますが、どうですか?

コロナが来て、ZOOMの使用や、マスクなどをずっとしていますが、これは、将来我々に影響があるはずでしょうか?この時期に使っていた感覚は今後はどうなるのでしょう。ちょっと不安です。子育てでも、赤ちゃんにわからなくても話しかけることが大切と言われていますが、ことばを覚えるためだけでなく。

モニター越しと実際に話しかけることのちがいはあるのか。言語の発達にはその子によってちがいはあるでしょうが。

児嶋:以前ひまわり教室に来ていた子どもさんで、お母さんが中国出身で、お父さんは日本人ですが、少し発達障害があり、家ではほとんど話さない人でした。お母さんは日本語をまだ学んでいなかったので、「日本にいて、中国語で赤ちゃんに話したらだめだろう」と思い込み、この子は赤ちゃんの頃から、家での会話がほとんどなかったそうです。保育園や小学校に入ってもほとんど話さず、2年生か3年生の時にひまわり教室を紹介されて来た時に、学校の担任の先生が「この子は中国語しかわからないのです」と言われたので、私が中国語で話すと、全く反応がなく、日本語でゆっくり話すと、「うん」とうなずくのです。「この子は日本語だけがわかりますよ」と伝えると、先生はびっくりされました。その後、ひまわり教室に来ると子ども同士で話をするようになり、しばらくして、お母さんから「家で大きな声で笑うようになりました」と電話がかかって来たことがあります。その後は、中学を卒業後、通信制の全日制の高校に通学しています。

E・Lさん:中国人の人で、ベビーカーの赤ちゃんにも携帯を持たせているのを見たことがあります。インドネシアでも、富裕層の人は、赤ちゃんにも携帯を持たせているようです。赤ちゃんは、小さい頃からいろいろ話したりしないと心の発達は難しいでしょうね。

別に住んでいる息子とラインで「おはよう」と問いかけて、返って来ないと心配になります。この間、「会いに行ってもいいかな?」と聞くと、「好きにしたら」と言うので、会いに行ったら、   「お母さんの顔を見て良かった。来てくれてありがとう」と言いました。大きくなってもこのような事があります。

Z・Yさん:小学校で支援しているC君は、保育園の終わりに春節で中国に行き、コロナが始まり、1年半ほど日本に帰って来れなかったのですが、ようやく帰国できたのは、1年生の2学期からでした。最初は、日本生まれでも、ほとんど日本語を忘れていたし、中国語も完全ではなかったです。この子には、できるだけ日本語で話し、わからないと中国語で説明したりしていました。家庭では、お母さん(中国人)と中国語で話し、お父さん(中国人)とは日本語で話すことを心がけていました。今は2年生の3学期です。国語の教科書は目で見て読みますが、内容は中国語で説明するとよく理解できます。

A・Oさんミュニケーションとは、人とのつながりと思っています。コロナ禍の前は、いろいろ取り組んでいましたが、その後は、引きこもるお年寄りが増えてきて、どうしたらいいかと考えていました。コロナが少し落ちついた2021年ころからは、年齢のちがうひとも集まれるような取り組みをとり入れています。どのようにコミュニケーションをとるかと考えた時に「自分から声掛け」をしようと思い、来てくれるとうれしいし、ありがたいと思いました。

どうしたら楽しんでもらえるかと考え、児嶋さんにゲストの話をして、いろいろな国のひとが参加するグローバルセッションを教えてもらい、今日参加しました。

みんなで話をすると元気になれると確認できました。

E・Lさん:インドネシアのコミュニティでもいろいろな人と話をすると楽しそうです。

岡本颯君:ありがとうございました。