2026/05/12
2026年4月25日(土)第398回グローバル・セッション・レポート「となりのムスリム・ムスリマ」
開催後のレポート
場所:ガレリア3階 会議室
ゲストスピーカー:友前尚子(くらるす、関西セミナーハウス開発教育研究会)
コーディネーター:亀田博さん(大津市在住)
参加者:大人20名 子ども2名
今回のタイトル:「となりのムスリム・ムスリマ-ー日本在住のムスリム・ムスリマについて知るー」
【概要】
日本に住んでいるムスリムは2020年末で約23万人となり、コロナ禍後にはさらに増加しています。それに伴い、南丹地域でもヒジャブ(頭を覆う布)を着けて通勤や買い物をする人たちを日常的に見かけるようになりました。このような状況の中で私たちが隣人として共に生活するために、ムスリムの日常の暮らしを理解する姿勢が重要です。
ゲストの友前尚子(私)は、(公財)関西セミナーハウス活動センター開発教育研究会の運営委員として、2022年に「となりのムスリム・ムスリマ」という教材を作成・出版しました。この教材では、ムスリムの生活の道具や出来事、その背景から題材を得て理解のスタートラインに立ち、その多様性を知るだけでなく、「一緒に暮らしていくのだ」という思いを持つことを前提としています。ムスリムの日常のくらしを知り、わたしたちが共に暮らす社会づくりについて考えましょう。
※店田廣文「世界と日本のムスリム人口 2019/2020年」
共に暮らすために
ムスリム、ムスリマ、イスラームとは
私とムスリムとの出会い
日本で暮らすムスリム
イスラームの子どもたち
自己紹介
亀田さん:では、参加者の自己紹介からお願いします。
R・Eさん:自分の組織の「たんぽぽ」で、えほんなどの作成をしています。
Y・Eさん:たんぽぽのマネージャ-や、元舞台運営などをしていました。今は
YouTuberをしています。
S・Fさん:インドネシアやバングラデシュと関わりがあり、イスラムの話に興味があり、参加しました。
サム・ジードさん:元亀岡市の国際交流員でした。今は別の仕事で亀岡にいます。
M・Sさん:ひまわり教室の指導者です。ネパールから来た子どもたちの指導に関わっています。
K・Yさん:ひまわり教室の指導者で、最初の2014年頃から関わっています。2025年度には、市の外国につながる子どもたちの支援コーディネーターをしています。
K・Wさん:いちおう亀岡市職員で、京都府に出向中です。秘書課国際係にいました。
F・Kaさん:3年前に京都市に移転しましたが、それまでは、滋賀県で35年間養護学校に勤務していました。
N・Fさん:ひまわり教室の指導者で、市の職員を3月までしていました。
A・Kさん:仕事は医療関係ですが、このGlobal Sessionに研修会に参加してから、来ています。
F ・Kさん:以前亀岡市交流会館で児嶋さんといっしょに仕事をしていました。今は、児嶋さんのホームページ管理などでGlobal Sessionに関わっています。
E・Oさん:今は、JTの子会社で仕事をしています。1ヶ月前に結婚して枚方市から来ています。掃除をするようになりました。
M・Fさん(友前さんの夫さん):初めてこのGlobal Sessionに参加します。
K・Mさん:ひまわり教室にこの3月から関わっています。電車の中で偶然児嶋先生に出会って始めました。昔の教え子です。大学院で日本語教育と出会いました。専門はちがうのですが。
S・Tさん:中国の上海出身です。これからひまわり教室の指導に関わりたいと思います。中国出身の子もいますね。日本に来て長くなりました。
ホサインさん:日本に来て12年になります。バングラデシュ出身です。
ヤスミンさん:バングラデシュ出身です。子どもは、ヌサイバが5才で、アリバは2才です。
児嶋:このGlobal Sessionは、私が亀岡市交流活動センターにいた1999年から開始
しました。退職してからは、オフィス・コン・ジュントとして主催しています。
今回は、398回目になります。大体、月に1回やり、レポートも出して来ました。
亀田さん:コーディネーターをしている亀田です。今回は参加者が多いですね。大津市から来ています。12:00に終わりたいので、時間があまりないので、友前さんの簡単な自己紹介から始めて、内容に入っていただけますか?
グローバルセッション スタート
友前さん:友前という名字は、多分、自分の親戚しかいない名字だと思います。今回は「となりのムスリム・ムスリマ」というタイトルですが、私が経験したことをお伝えし、みなさんに考えていただく機会にしてもらいたいと思います。
私は、南丹市で、「くらるす」という団体で「にほんごひろば」と「にほんごひろばkids」という活動をしています。南丹市在住の外国につながる子どもの日本語サポートや在住の外国出身の大人が交流し合う会です。また、今は福祉の仕事で発達障害のある子どものサポートをしていますが、3月までは亀岡小学校に勤めていて、福祉と教育の仕事とを行ったり来たりしています。また、関西セミナーハウス活動開発教育研究会に25年程所属して、教材開発などをしてきました。開発教育というのは、1960,70年代にグローバリゼーションによって世界の格差が広がってきた時に、世界の南北の格差や平和、人権などの世界的課題について、参加型で学び、公正な社会づくりをめざすという教育活動です。関西セミナーハウスでは、年に6回、一泊二日のセミナーなども開催しています。その研究会ではこれまでに6冊の教材集を出版してきました。今回の「となりのムスリム・ムスリマ」は、その教材集の6冊目「身近なことから、世界と私を考える授業Ⅲ」に掲載している内容です。この教材は本来はワークショップ形式で行うものですが、今日は、この中から要素を取り出してお話しします。
今日のタイトルから説明していきます。
1.ムスリム・ムスリマ、イスラームとは
ムスリムは、男性も女性も含んでいますが、ムスリマはイスラム教を信仰する女性を表しています。
「こんにちは」は、「アッサラームアライクム(あなたに平安を)」です。
「イスラーム」は「イスラムの教え」という意味です。そのため、日本語で「イスラム教」としているのは「イスラム教」となり「机の机上」のようなおかしなことになります。イスラームは、世界の三大宗教のひとつですね。その割合は、世界の宗教人口のうちの24.3%と言われています。イスラームの人口が多いのは、インドネシア、パキスタン、トルコ、バングラデシュと言われています。亀岡の先端科学大学にも最近、バングラ出身の3名の学生が来たと聞いています。星と三日月をあしらった国旗は、イスラム国家が多いです。
2.私とムスリムとの出会い
私とイスラームとの出会いは、20才の学生時代にマレーシアへの旅行に抽選で当たったことから始まります。飛行機から降りてクワラルンプールに着くと、バスの中から見える風景の中で、体を折り曲げてお祈りしている人がたくさんいました。教科書で学んだ「イスラーム」が現実に目の前にありました。
また、それから数年経って神戸三宮を散策していると、神戸モスクがありました。見学は自由でした。ちょうどその日はラマダーンだったようですが、「ラマダーンだから、みんな今料理つくっているけど、どうぞ」と言ってもらい、見学をしました。それまでの私は、ラマダーンには、イスラームの人たちは食べないとばかり思っていましたが、ラマダーンが終わった時に、ごちそうを楽しみにしていることも知りました。そのモスクでは、男性は1階で、女性は2階でとなっていました。大概のモスクがそうなっています。
そして本格的にイスラームと出会ったのが、2020年の秋でした。私はその当時、南丹市国際交流協会の事務局で仕事をしていました。市役所からの依頼で、ホサインさんが事務局に来て書類の翻訳を頼まれました。ホサインさんは、「自分は日本語ができるけど奥さんは、日本に来て間もないから日本語を学んでほしい」ということで、その後、ヤスミンさんが日本語教室に参加されるようになりました。ヤスミンさんは、コロナ禍で帰国できない状況で妊娠されていたので、市役所の保健師さんと一緒に女性の医師のいる病院探しもしました。その結果、京都バブテスト病院で出産されました。そういうことから、イスラームについて深く知るようになりました。
3.日本で暮らすムスリム
日本で暮らしているムスリムは、2020年には、約23万人と言われていました。2024年は、約42万人と言われ、4年間で二倍になっています。この中には、生まれながらのムスリム・ムスリマと、日本人の改宗者、ムスリムの子ども(例:ムスリムの夫と日本人の妻)などが含まれます。
マスジド(モスク)の数は、2021年3月には、113で、2025年7月には、167と言われています。国内のマスジドには、東京ジャーミー(代々木上原)などがあります。そこも、女性は2階で、男性は1階で祈ります。じゅうたんが引かれていて、それがお祈りをする際に並ぶ線の役割をしています。モスクの中では、女性は見学者も頭を布で巻いています。ムスリムはどこに居ても、時間を決めて、1000万人が同じ方向を向いて座ります。移動中も車の中で方角を決めてメッカに向かって祈ります。神戸モスク(三宮)は、日本で一番古いモスクです。その他に大阪には、大阪マスジド(西淀川)、大阪茨木モスク(茨木市)などがあります。大阪茨木モスクでは、毎週土曜日に子どもも入れて勉強会がもたれています。京都は、京都モスク(鞍馬口)や、京都セントラルモスク(元田中)や、八幡市のイスラミックリサーチセンターなどもあります。
クルアーン(コーラン)の教えを守った生活とは、礼拝を日に5回やり、喜捨断食として、ラマダーンの月には日の出から日没までの日中飲食を絶つとか、一生に一度はメッカを巡礼するなどの教えがあります。ラマダーンは、実は楽しみで、終わった後に飲んだり、食べたりがあるので苦しくないと言われています。ラマダーン終了後は、みんなが寄り合い、ごちそうを食べます。このことについては、またの機会にお話ししましょう。
ムスリムのくらしについては、吹田市にある民博に、ムスリムセットがあります。数珠(電子数珠も)、礼拝用敷物(持ち歩き用も)などがあります。一日五回の礼拝も時間が決まっています。日本語教室などでも、時間が決まっているので、勉強をストップして礼拝する人もいます。キプラコンパスというのがあり、方角を見ることもできます。
イスラームのお祈りの方法として、お祈りの前にウドゥと言って手や足を洗い、体を清めることをします。京都市国際交流会館(kokoka)や、京都タワーには、お祈り部屋があります。全員がそれぞれのやり方でお祈りをします。女性のヒジャブの巻き方もいろいろです。男性も帽子をかぶることが多いし、体の線を見せないようにしています。
ハラール食品としては、アルコールや豚肉は禁止ですが、ハラルジャパンというアプリもあります。日本にもハラルマークのついた物がコンビニなどにあります。韓国やベトナムはハラール食品が多いようです。
イスラームでは、教育の本として、イラストの中の目をかくすこともあります。これは、神様は唯一で天使が家の中で迷ってしまうからという理由です。
昨年、くらるすで、ハラールのBBQをしました。ホサインさんの職場の親睦でBBQ大会があったのですが、ホサインさん家族は普通の肉は食べられないので、一度BBQというものをやってみたいという要望から実施しました。ムスリムは、豚肉は食べないし、豚肉を調理した調理器具も使ってはダメです。ハラール肉は、同じ牛や鳥でも殺すときの方法がちがうのです。魚はOKです。ハラール醤油はいいのですが、アルコールで薄めた醤油はダメです。
4.イスラームの子どもたち
K・Yさん:「亀岡市の小学校に通っているムスリムの児童はデザートにごはんと牛乳だけを給食で、おかずは家から持って来ています。給食にデザートとして出るゼリーはゼラチンを使っているので食べられません。」
総務省は、ラマダンの時の服装や、給食を食べられない場合もあることなど、学校でイスラームの子どもたちに対応するよう指導しています。
12才ごろになるとお祈りもするので、静かな校長室などを用意することもあります。神様と保護者の判断ですが、体育はしないと言う子もいるし、音楽でも歌はいっしょに歌わないとか、誕生日はおめでとうと言わないとかいろいろあるようです。年齢と出身国や保護者の考えで変わります。周りがそうしているから同じようにするという家庭もあります。保護者が神様と相談して必要ないと言えばしなくてもいいという家庭もあります。
児嶋:「インドネシア人のお母さんの知り合いは、神様と相談したので、給食も今は食べてもよいとしていました。」
先週のひまわり教室でパキスタン出身の2年生の男の子がカタカナ練習をしていて、「ぶた」のイラストに✕と描きました。「ああ、豚はハラームだからね」と言うと、「ハラーム知ってるの?」と、うれしそうに尋ねていました。もし大人がイスラームを知らないことから「なんで、絵に✕を描いたの?」「プリントに✕をつけてはダメ」などとその子に声をかけると、彼を傷つけることになるかもしれません。
5.共に暮らすために
*イスラームは単なる宗教ではない。イスラム法もある。個人レベルと国家政治レベルもある。
*イスラムの地域独自の習慣が混同されがちである。宗教実践には、地域差がある。地域独自の習慣とイスラムの規定とある。
終わりに
世界の情勢として、宗教のちがいが、紛争を起こしているのか?いつになったら終了するのか?欧米や日本でも、イスラーム排外主義が広がってきています。この地域でも、イスラームだけではなく、外国人排除の考えが広がっていると思われるようなSNS投稿が最近ありました。今回、このGlobal sessionで話す機会をいただいたので、ぜひイスラームについて知っていただきたいと思い、今回このテーマでお話ししました。知らないことから、排除が生まれると思います。
→ 歴史を学ぶことが必要 開発教育でも、知り、考え、行動することの必要性を考えている。
3月の濱田雅子さんの服飾史からみた中東の国々のお話しからも歴史を正しく学ぶことの大切さを痛切に感じました。
亀田さん:では時間が近づいてきたので、質問はありませんか?
Y・Eさん:ムスリムは音楽を演奏してはいけないのですか?
友前さん:イスラームの教えを表した歌を歌うことします。幼稚園などでもみんなで歌を歌いますが、中身でだめなものがなければOK。
イスラームでは、けんかはダメ。アルコールは飲まない。
他のムスリムが(アルコールを飲まないなど)教えを守っていなかったとしても、それを非難することはありません。
髪の毛をかくすのは、美しい髪の毛を守るため。ヒジャブを頭だけ被るだけか、全身を隠すのかも姉妹によっても考えが違うこともあります。それは、個人の考えそれぞれが尊重されます。ヤスミンさんは全身を覆っていますが、ヤスミンさんのお姉さんは頭を覆っているだけです。
ラマダーンの時でも妊娠中や生理中の女性や子ども、病気の人など3食食べる必要のある人は免除されます。日没後はモスクに行ったらみんなで食べるのです。
S・Fさん:ラマダーンは、仕事や学校が休みの日でも、飲み食いができないのですね。
ホサインさん:仕事の時は、朝も夜も食べます。日中に食べないだけです。一日2食ですね。だんだん慣れます。ラマダーンにはお金をかけてごちそうを食べるのです。
R・Eさん:豚を食べないのはどうして?
ホサインさん:豚は反芻しながら食べるのがきたないと思われているのです。体のためにも良くないと言われています。
亀田さん:犬は飼わないとか。
K・Yさん:豚を食べると神様におこられるからと聞いたことがあります。
ホサインさん:ムスリムは、神様以外には礼をしません。日本で仕事のあいさつの時に90度体を曲げてあいさつをしますが、身体を深く曲げてあいさつするのは神様にだけです。私の職場の人は知っているから、私が軽く頭を下げているだけでも分かってくれています。
Y・Eさん:日本でもおどりの中で、頭を下げないことがあります。
亀田さん:時間が来ましたので質問がまだあれば、友前さんに聞くか、児嶋さんにメールを出し、そこから聞いてもらうかしてください。
では、今月のGlobal Sessionを終わります。ありがとうございました。