2021/02/23

2021年2月13日(土)第337回グローバル・セッション・レポート

開催後のレポート
グローバルセッションイメージ

開催日:2021年2月13日(土)10:30~12:45
場所:ガレリア3階 会議室&オンライン
ゲストスピーカー:濱田雅子さん(元武庫川女子大学教授、アメリカ服飾社会史研究会会長)&大槻正一さん(グラフィック・デザイナー)
コーディネーター:亀田博さん(ツアーガイド:大津市在住)
参加者:11名(うちオンラインでの参加3名)

 今回のタイトル:「コットンをめぐる不都合な真実」濱田雅子の服飾講座 服飾から見た生活文化シリーズ19回目共催:第41回アメリカ服飾社会史研究会

参加者の皆さんの感想

Y・Iさん

今日はありがとうございました。

モンサントのことは食品業界のことだと思っていましたが、アパレルでもとんでもないことをしているのだと驚きました。倫理とか優しさとかそういう言葉が通じない企業がいまだにのさばっているという現実を知りました。参加してよかったです。便利と危険はうらはら。進歩とリスクはうらおもて。企業は利益を追求するのは当たり前なのですが、もうお金だけの世界というのは違うかなともいます。

パタゴニアはブランド名を知っているだけでした。その取り組み、考え方、企業理念などもう少し調べてみたいです。

アッという間の2時間でした。また参加します。

K・Kさん

今回も映画を挟んで環境汚染とアパレル企業。モンサントの遺伝子組み換えbt綿など、問題が昨年に続いてテーマだった。繊維と言えば我が街も繊維産業で栄えた町で少し私も他人事では無いと思い毎回参加している。濱田雅子様にも神戸まで出向いてお聞きした事もある。

 今日は2月上旬と言えない暖かさで池田市から423号線を亀岡市に向かって山越えした。山間の静かな景色は長々と続いていた。

 青空に一点の曇も無く、早朝の強い陽射しを受け、田んぼから湯気が煙のように登っていた。国道に添うように流れる余野川をせせらぐ水も白く泡立ちながら光っていた。

大槻正一さん

ファッションをファッションの市場や分野だけで見る、解決を見出す時代は遠に終わったのではないでしょうか。我々の世界は、あらゆるものがつくられる、サービスが生み出されるその結晶化しか見ていませんが、手にはとっていませんが、そこに膨大の時間と、細分化された、グローバルの波が存在しているのです。ですから、物事の側面の上面だけを見るのではなく、あらゆる角度から多角的に見ていかなければ、正体が見えてこない。それだけ、複合的に包括的に世界の市場はグローバリズムは、お金のマネーゲームは絡んだ紐たちがもうほどけないところまで来ている。それらが、気候危機にまで及んでいる。考えることは山積みですが、命があり、時間もあります、それぞれ一個人がマインドセットを変化させてゆく時代が来ているのだと感じます。

R・Sさん

昨日は、ありがとうございました。濱田先生と大槻さんのお話、大変興味深く聞かせていただきました。拝聴して、私たちに責任ある消費行動が求められていることを強く感じました。そのためにも、表には見えない(隠されている?)生産現場の実情を知ることが大切だと思います。現状を知り、環境と働く人々を犠牲にしない選択を広げていくことが求められていると考えます。そうすることによって、利益の追求ために環境や働く人々を犠牲にする企業は受け入れられない。そのような企業は経営的にも成り立たないということが、世界中に広がってほしいです。

最後の「意見・感想」のところで、ある中学校の総合的な学習の時間や生徒会の取り組みを紹介させていただきました。「困っている国や地域の人々を助けたい。」「環境を守りたい。」という意図は大事なことだと思います。だからこそ、広く深く現実を知ることが必要だと、お二人のお話を伺って感じた次第です。意図しているところと実際の取り組みの結果が食い違うことのないように、確かに学んでほしいと思います。私自身も引き続き学びながら、そうした学校での取り組みに何か手助けができればと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。」

H・Iさん

こちらこそ、勉強させていただきありがとうございました。Zoomのホストも少しずつなれてきましたが、やはり相手さんの通信状況は課題だと思いました。それから、講師さんがなにを共有して見せようとされているのか、ワードなのか、エクセルなのか、パワーポイントなのか、または動画なのか、事前の調整は重要です。

講座の内容では、農薬についてもっとよく知らないといけないと思いました。まさか自社の農薬に合わせて、作物の方も作っているとは誰も思いつきません。僕はそこまで考えていませんでした。そうまでしてお金儲けをしなければならないのかと疑問に思います。消費者がしっかりと知識を持ち、法の力でガッチリと規制をかけていかないといけないと思います。

大槻さんの部分では、何が本当のサステイナブルなのかという投げかけがありましたが、これはひとえに、消費者と企業の両方が、自然に逆らわないように、ある程度我慢しなければかなわないのだと思いました。多少不便であったり高かったりしても、地元の店からよくて長持ちする物を買うとか、多少利益が落ちても従業員や原材料の生産者を手厚く扱うなどの努力が必要だと思います。」

K・Iさん

先日の会は、参加させていただきありがとうございました。まず、濱田先生に提起していただいた服地にまつわる環境問題については、問題性を知っているだけでは、そこにビジネスが絡んでいる限り、改善しようがないことを強く意識させていただく内容だったと思います。

大槻さんのご発言は、それに応じて、利益優先ではないビジネスも可能だという提起でした。環境に悪いからだめ、という言葉だけでは解決できそうにない難しい問題であることから、私たちは考えなければならない。その会社を買い取ることで問題を取り除く事は有効なのか?消費者として態度を変えることは有効なのか?と考えました。値崩れは単に「安く買えてよかった」ではなく、人が働いた価値を低くしてしまう恐れがある。参加者の中からは、子どもたちにどう教えたら良いか、という提起が出されましたが、それもとても重要な視点だと思いました。子どもたちにどう教えているのか、未来に何を残すのか、と私たちが問われた時、やはり、人として間違った事は教えられない、と感じて自らの振る舞いを正そうとするのではないかと思います。そこに、私たちが取るべきヒントがあると思いました。買いすぎない、買ったものは大切にする、正当な金額で購入することで、映画『True Cost』からの問いかけに応えたいと思いました。

そして、映画『モンサントの不自然な食べもの』からの問いかけについては、まず、国内産の農産物及び、農産物由来のものを利用するように意識する。安売りに飛びつかず通常の値段で買う、無農薬、有機栽培などに取り組んでいる農産物を利用することが私たちの命だけでなく、生産者の”命”を大事することになると思いました。

何事も、買いすぎない、適量を使うという行為によって、無駄がなくなり、必要量が流通する経済に転換して行けたら良いと思います。その観点からは、服のオーダーメイドは今では贅沢のように映りますが、自分に合った服を身につけ、長く着用する事は、実はエコでもあることに深く気づかされました。」

亀田博さん

コットンをめぐるふつごうな真実。 モンサントの遺伝子組換えbt綿とラウンドアップについて、   インドのBt綿栽培農家では、大量の農薬が撒かれている。世界のコットン出荷量世界第2位のインドでは、そのほとんどはモンサント社が開発したGM(遺伝子組み換え) 綿である。インドの種苗会社マヒコは1999年にモンサント社に回収され、細菌由来の殺虫性毒素が組み込まれた(Bt綿)は、綿花の天敵である蛾の幼虫が近寄らないように開発されたものだったが、その実、他の新たな害虫や立ち枯れ病が発生して、結果、大量の農薬を撒かなけれならない。モンサント社が販売する除草剤(ラウンドアッブ)を飲んで、畑で自殺する人が急増している。

モンサントは、かって存在した、アメリカの多国籍のバイオ科学メーカー。2018年6月、バイエルによる買収、吸収が完了し、モンサントの企業名は消滅した。   7兆円を越える大型買収、100年以上続いた(モンサント)の名を消すバイエルの思惑だと思います。モンサントの名前が消えることは、バイエルの戦略の一部のようだ。同社は、モンサントおよび遺伝子組み換え作物(GMO)へのネガティブなイメージと距離を取ろうとしている。バイエルの買修の2カ月後、農薬大手モンサント(Monsant)の除草剤のせいてがんになったとして、同社を相手取り訴えた裁判で、原告の米国人男性が予想外の勝利を収めたことから、今後、同様の訴えが多く起きる可能性が出てきたと思います。

裁判では、ラウンドアップの発ガン性についての警告を怠ったモンサントに落ち度があるとの陪審評決が出された。バイエルに取っては、高い代償で、不運な結果だと思います。                                        

パタゴニアについては、大槻さんからプレゼンを頂きました。ヨセミテをベイスに世界的なクライマーが、トレーニングで訪れます。自然が素晴らしいです。パタゴニアについては、登山用品が、有名で、品質や安全性が知られています。最近は、オーガニック、コットンに力をいれています。日本の消費者には、登山用品は、知られているが、コットン用品は、特に知名度が低いように思います。一般には、パタゴニアと言うと、南米のパタゴニア氷河が有名です。又、パタゴニア商品は、日本の店舗は、外国と比べると価格が高いのと、オーガニックコットンのピーアルが低いように感じます。もっと宣伝すべきです。 聖地ヨセミテの妖精のポストカード 素敵です!             

濱田先生  2月のGlobal  Session 有り難うございました。 

A・Sさん

濱田雅子先生と大槻正一様のアパレル産業に関するご講義を伺って

「もともとフェアトレードに関心を持っていたこともあり、この度のご講義に参加させていただきました。フェアトレードに関心を持ちましたきっかけは、10年ほど前に観たあるドキュメント番組で、そこには、コロンビアで農薬まみれになり、自らやお腹の子どもの健康をリスクにさらしながら懸命に花を摘む妊婦たちの姿が描かれていました。その花が、まさに私が大学院生の頃、ロンドンで購入していたものに見え、衝撃を受けたのです。学生だったこともあり、お金はありませんでしたが、忘れたころに2ポンドほどの小さな花束を買っては、癒されていました。それだけに、「あの花束がもしかするとこうやって栽培されていたのか」と思うと愕然としました。

本日の濱田先生と大槻さんのご講義を聴き、アパレル産業の問題と私が経験したブーケの問題の根底には共通点があると思いました。多くの人々を幸せにしているはずの花束や洋服が、人々に多大な健康被害をもたらすだけでなく、空気、土壌、水質の汚染など、地球規模の問題を引き起こしているということです。あまりに悲しい現実ですが、現実を知らなければ、手の打ちようがありませんし、これはこれで必要だったのだと思います。そのような意味で、濱田先生のように、アパレル産業をマクロな視点から研究されることも、大槻さんのように、アパレル産業をパタゴニアのような事例を取り上げつつ、ミクロな視点から報告されることも、どちらも大変意義深い活動だと思いました。

一方で、話題に挙がっておりましたオーガニックコットンやパタゴニアの製品は、どうしても高価であるため、経済力があり、かつ環境問題にも関心がある、ほんの一部の人しか手に入れることができない対象となっています。購買層が限られる分、それらを取り扱う店舗やサイトは、ファストファッションのものに比べると圧倒的少数で、生産量も極端に少ないのが現状です。そのようなこともあり、たとえアパレル産業が環境にもたらす問題の解決に関心のある消費者であっても、自らの購買行動が環境問題の解決にほとんど役に立たないのではないかと自問する人も少なくないでしょう。今のところ、私は間違いなくそのうちのひとりです。オーガニックコットンやパタゴニアの製品には関心があるものの、いざ実物を目にした時には、コスパを考えたり、「自分一人が買ってもなぁ」と揺れたりすることは容易に想像がつきます。一方で、できるだけ人と地球に優しい商品を購入し、大事に着ようという思いは、この度のご講義を通じて確実に強まっています。自らの購買行動が世界の人々の健康や環境問題に直結していることを、強烈に実感したからだと思います。

この度のご講義は私の購買行動に大きな変容をもたらす機会となりました。本当にありがとうございました。」

E・Tさん

「今回は、前回よりもショックな内容でした。理由は、低賃金を苦に自殺をする人がいるのは覚えていましたが、化学薬品等が海に流れて魚に影響を及ぼし、その魚を食べて身体に悪影響が出て結果的に亡くなってしまうのがショックでした。ただでさえ、苦しい生活なのに、その上、自分の身体を良くするはずの食べ物食べて死んでしまうなんて悲しいです。それから、服がなかなか売れず、廃棄される話がありました。廃棄されるにも、時間やお金がかかります。だから、よくセールをして少しでも廃棄される数を減らすのにも納得がいきました。最後の方で、廃棄する筈の商品を買い取り売る店が紹介されていましたが、ああいうお店がこれからも増えていけばよいと思いました。これは答えになっていないかもしれませんが、私自身、せっかく買った服を、弟や親戚にあげたり、服を買い取ってくれるお店に行き、私なりに誰かに“貢献”したいと思います。これからもよろしくお願いします。」

児嶋きよみ

「いろいろ勉強をさせていただきました。服は安ければ多く買い、すぐに気に入らなくなると捨て、その捨てるのも「外国に寄付する」所へ持ち込むというような流れが根付いています。「その先はどうなるのか?」をほとんどの日本在住のみなさんは、考えていないのが通常の状態ではないでしょうか?アフリカで捨てられた服も売買され、そして捨てられ、山ができているところもあります。また、自国の生産も買わないので廃れ、でも

綿をつくる産業には低賃金ではたらかなければならないとうような事情が見えてきます。「いらない服を集めたら、どこかの国に寄付する」というプログラムを学校で始めたら、その先を考えるプログラムを是非作って考えてほしいですね。

 また、日本の米作りも、農協が関わらない方法は、なかなか無理があります。しっかりやってもらっているので、続いている部分もかなり多いですね。これも勉強が必要です。一つの方法ですべてが解決するのではないということを更に自覚したGlobal Sesionでした。ありがとうございます。」

オンライン講座「コットンをめぐる不都合な真実」を終えて

濱田雅子さん

  • 皆さんへのお礼

 オンライン講座を終えて一週間余りが経ちましたが、何と全員の参加者の皆様から、熱意に満ちたレポートをお届けいただき、感動いたしております。本当にありがとうございます。

皆様から、それぞれに、奥深い問題が指摘されています。以下の濱田のレポートで、皆様が提起されている問題について、少しでもお役に立つことをお書きできればと存じます。今後、引き続き、ご一緒に取り組んでゆければ幸いです。よろしくお願いします。

Ⅰ モンサント社の7つの功罪

  亀田さんから、モンサント社のバイエルンによる買収についてのレポートをいただきました。「モンサントは、かつて存在した、アメリカの多国籍のバイオ化学メーカー。2018年6月、バイエルによる買収、吸収が完了し、モンサントの企業名は消滅した。 7兆円を越える大型買収、100年以上続いた(モンサント)の名を消すバイエルの思惑だと思います。」

 決して、見過ごすわけには行かない歴史的事実です。

 ここに、モンサントの7つの功罪を列挙します。

1.PCB

 「カネミ油症事件」の原因物質。毒性を知りつつ製造を続け、地球全体にこの発ガン性物質を蔓延させた。

2.枯葉剤(オレンジ剤)

ベトナム戦争でゲリラ対策に散布され、400マン人がダイオキシンに曝露。多数の奇形児が生まれた。

3.牛成長ホルモン《ポジラック》

肉や牛乳に残存し、アレルギーやホルモン異常、ガンを引き起こすと指摘されている。2008年に製造撤退。

4.除草剤《ラウンドアップ》

世界で最も売れた除草剤。発ガン性・流産等の可能性があり、「安全」をうたった広告は虚偽と判決が出た。

5.GMO大豆(ラウンドアップ・レディ)

南米各国に、政治工作や謀略によって普及。パラグアイでは、反対する農民が政府に逮捕・殺害された。

6.GMOトウモロコシ

メキシコで、紀元前5000年からの伝統種の遺伝子を汚染。生物多様性が破壊され、奇形種が発生。

7.GMO綿花(ボルガ―ド)

インドで大キャンペーンを張って販売。しかし、宣伝ほど収量は増えず、結果、数多くの農民が自殺。

典拠:  マリー・モニク・ロバン著、村澤真保呂他訳『モンサント—世界の農業を支配する遺伝子組み換え企業—』(作品社、2015)

Ⅱ ラウンドアップの日本のホームセンターなどでの販売    

下記のURLを参照なさって下さい。ぜひ、最後までお読みください。

「このようにラウンドアップの危険性への認識は世界的に拡散されており、店頭でラウンドアップが簡単に手に入るのは先進国では日本ぐらいになっている。」

「世界中からはじき出され行き場を失ったラウンドアップが日本市場に一気になだれ込んできており、除草剤では売上トップの座を占めている。日本では日産化学工業が2002年5月にモンサントの日本での農薬除草剤事業を買収し、ラウンドアップの日本での販売権を引き継ぎ、「優れた効力と環境に優しい除草剤」などと宣伝してきた。」 

「ラウンドアップは日本の店頭では「もっとも安全な除草剤」とか「驚異の除草力」とかいった宣伝文句で販売されている。農協の販売ルートにも乗っており、ホームセンターやドラッグストア、100均などでも大大的に扱っている。またテレビCMや新聞広告もされ、危険性についての説明は一切なく、警戒心なしに購入し使用しているのが現状だ。」典拠:https://www.chosyu-journal.jp/shakai/11791

Ⅲ 環境意識革命の実現に向かって

大量生産 ⇒大量消費 ⇒ 大量廃棄 ⇒ 在庫衣類買い取り業者(大阪のショウイチに代表されるバッタ屋)の台頭

                   ⇓

持続可能   カスタム・メイド   ダイバシティ―  環境意識革命の実現

《カスタム・メイドとは》

持続可能性は、大槻さんが提起されたように、今後の課題です。私もこの問題には大きな関心を抱いてきました。今後も「歴史に見る持続可能性」の問題について、服飾史研究者の立場からアプローチして行きたいと思っています。私はこれまで、拙著においてカスタム・メイドに着目して取り組んできました。

「新田中千代服飾事典の解説がアメリカのcustom-madeを分かりやすく説明している。「(注文服)(おあつらえの)という意味で、おあつらえ、おあつらえ品という米語である。既製品万能のアメリカでも、ニューヨークには特定のお得意様に対してのみデザイン、裁断、仮縫いをするカスタム・メイドの衣装店がある。・・・・・カスタム・メイドのデザイナーは、デザイナー自身が創作した新しいデザインを用意し、スケッチから実物をつくって1枚ずつの実物のサンプルを用意して、得意客が訪れると、サンプルの中から似合うものの注文を受けたり、デザインを多少かえたりして、寸法にあわせて作り、注文に応じるのである。」典拠:濱田雅子著『アメリカ服飾社会史の未来像―衣服産業史の視点からー』本書の第二章で考察したアーノルド・スカージはアメリカのカスタム・メイドのデザイナーです。

本書の総括において、「カスタム・メイド、つまり、在庫ゼロの受注生産は、実に未来につながるアパレル生産の手法」であると述べています。私はアパレル業界で服作りの仕事に携わっていた立場からこのような提案をしています。アパレル産業で働く技術者の労働の価値について考えたとき、バッタ屋「ショウイチ」が日本のみならず、海外にも市場を広げていっているのは、実に悲惨な悲しむべき実状だと思います。

 環境意識革命の実現が行われなければなりません。画一的な大量生産社会からダイバシティ(多様性)を尊重する少量生産、少量消費の社会への環境革命への道とは何かが、今、問われています。

Ⅳ 学校の教員と研究者の連携の必要性

末永さんがおっしゃっていた学校の教員と研究者が連携し、未来を担っている子どもたちに、未来を見据えた正しい教育をしてゆかなければならないと確信しています。

Ⅴ 透明性をもって、新しいビジネス・モデルの構築を!

科学者とさまざまな衣服産業に携わっている企業家や環境に関わる諸団体が一体となって、サプライチェーン同士の透明性を保ちつつ、人間と環境の健全性を向上させる衣服産業のビジネスモデルを構築して行かなければならないのではないでしょうか。

濱田雅子著
『アメリカ服飾社会史の未来像ー衣服産業史の視点からー』
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