2021/01/04

2020年12月26日(土)第336回グローバル・セッション・レポート

開催後のレポート

開催日:2020年12月26日(土)10:30~12:30
場所:ガレリア1階調理室
ゲストスピーカー:オジュグさん(ポーランド出身:大学教員:大津市在住)
コーディネーター:亀田博さん(ツアーガイド:大津市在住)
参加者:10名

 今回のタイトル:クリスマスのお菓子とポーランドのクリスマス

オジュグさんのポーランドのクリスマスについてのお話

オジュグさん:私の名字はオジュグですが、ミドルネームはアダムです。出身はポーランドですが、日本ではポーランドは馴染みの薄い国のようで、できるだけ知ってほしいと、30年間がんばって来たつもりです。

この亀岡でのGlobal Sessionは、5回目か6回目になりますが、「ポーランド通といったら、亀岡へ」というくらいです。住んでいる大津市でもあまり知られていません。

日本全体にいるポーランド人も多くはないです。

ヨーロッパの中のポーランドというのもあまり目立つ国ではなかったからでしょうか。

スラブ系民族というと、ロシアを思い浮かべるでしょうが、西ヨーロッパの民族ともちがいます。

実際には、中欧、東欧の周辺からスラブ民族が起こり、後に、ポーランドとロシアとの間に主導権の争いもありました。宗教もロシア正教でもなく、ヨーロッパ寄りのローマカソリック教です。

習慣もロシアとも、ヨーロッパともちがうものも多いですが。

ポーランドのクリスマスもアメリカなどのクリスマスとも雰囲気がちがいます。

ヨーロッパのクリスマスはもっと家庭的で、宗教的、教会でクリスマスの雰囲気は味わえます。クリスマスの歌も「きよしこの夜」だけではなく、ドイツやポーランドは庶民の文化としての歌が発達してきました。

歌を聞く「LulajzeJezuniu」とう歌の楽譜を配布

※参考動画

この歌っている歌手は日本人です。まず、この歌でクリスマスの雰囲気を味わってほしいと思います。またあとでちがう歌手の同じ歌を聞いてみます。4回くらい聞くと耳に入り残ると思います。

話は変わりますが、祭りはだんだんどこでも衰退してきていると思います。

日本でも正月とかより、ハロウイーンなどがはでになったりして。でも、私は、伝統がなくなっていくのは寂しいと思っています。それは、人々がその良い伝統を楽しむことが出来なくなるという意味で。楽しむためには、工夫が大切と思います。例えば、若い人たちが正月を楽しむためには、工夫とか努力が必要というような。

この日本での30年間を振り返ると、日本人は祭りなどの習慣が消えていくということに気づかないことが多いと思います。

例えばおせち料理を家で食べるより、外に出る方を好むとか。

ポーランドのクリスマスは、家族ですごすということがメインで「家族でひとつの楽しいことをやる」という目標があります。

でもそのためには、何かのきっかけが必要です。

ポーランドでは、24日の午前中は仕事をし、クリスマスは夜から始まります。イヴはクリスマスのための前夜祭であり、25日と26日は祝日になります。24日の昼からクリスマスツリーを飾り、家族はそれぞれ役割があります。お父さんと子どもは樅の木を持って帰り、飾ります。お母さんは、クリスマスの料理を作ります。

このクリスマスツリーはドイツが発祥地と言われています。昔は、家が天井が低かったので、シャンデリアのような形をした色紙で飾りを天井に吊るしていたが、クリスマスツリーの習慣が広まると貴族から庶民にも広まってきました。

クリスマスのお菓子もピエルニキなどがありますが、昔はいつでも甘いお菓子があったわけではなく、クリスマスだけのお菓子でした。クッキーを焼くと甘い香りがしてきますが、香りを五感で感じる喜びがあります。スパイスも欠かせません。樅の木の香りもありますね。

ドイツもポーランドもクリスマスから逆に数えて4週間をアドベントと言います。

昔はその期間中、肉も甘いものもあまり食べませんでした。クリスマス期間が始まり、クリスマスツリーに飾られたお菓子は少しずつ食べていき、消えていくことで、「これから楽しいことがあるぞ」と気分が盛り上がってくるのです。このように「何かを準備する楽しさ」は、お金で買うだけの楽しみとはちがうはずですね。

亀田:クリスマスの時期にチェコに行ったことがあるのですが、よく似ていました。

オジュグ:ヨーロッパの中でも似たようなお菓子がありますが、それぞれに特徴があり、アメリカでも、ジンジャーブレードのクリスマス菓子が多いですね。

スパイスはアジアからヨーロッパに入ってきました。スペイン、ポルトガルがアジアから持ち帰ってきたスパイスをドイツやポーランドにも伝わり、ライ麦やハチミツを利用したお菓子が多いのですが、ドイツのニュールベルグやポーランドでは、北部のトルニという街が有名です。トル二は、コペルニクスの生家があるので、有名です。昔は冷蔵庫がなかったので、ハチミツやスパイスを入れると長持ちするように作られました。今日のピエルニキのようにですね。昔は女の子が生まれるとケーキを焼くための生地をスパイスやハチミツなどでしみこませて長持ちさせるように作られました。そして、結婚式の時に焼いて食べるというようなところもあった。

今日は、2日間発行させたケーキを作って持って来ました。10種類のスパイスが入っています。国によって混ぜるスパイスや割合が違います。実験しながらやってみるといいですね。

オジュグさんの作って持ってきたケーキ

オジュグ:今日は、2日前に作り、10種類のスパイスの入ったケーキを持って来ました。スパイスは国によって割合がちがいます。いろいろな割合を実験しながらやってみて自分に合うのを見つけたらいいと思います。

スライドを見る。(クリスマスの食事)

クリスマスイブは、ヴィギリアという特別な食事を母親が作ってくれて、その日でしか食べない料理もあります。

ポーランドのクリスマスでは、魚を食べます。魚とは、主に鯉です。生きている鯉を手に入れると家の風呂場に入れておきます。クリスマスイブには肉を食べないのですが、クリスマス前の4週間前からアドベント期になり、その頃から肉も食べないです(今はこの習慣もなくなりつつあります)。クリスマス料理は12種類が並び、サラダもあります。ピェロギという水餃子のようなものもあります。ベジタリアンの食事のようですね。

クリスマスの食事を始めるタイミングは、一番星が出る頃です。家族で過ごすことがメインですが、余分にひとつ席を作っておきます。それは、死者のためではなく、だれか来たら入れてあげることを目標にしています。

クリスマスプレゼントは、まず、12月6日にサンタの日(聖ニコラスの日)が来て小さなプレゼントをします。24日には、食事が終わったら、プレゼントをもらいます。サンタが来る家庭もありますが、子どものイエスが持ってくる場合もあります。ドイツでは天使が持ってくるとも言われるところもあります。

食事が終わり、夜の12:00になったらみんなで教会のミサに行きます。ここからクリスマス期間が始まるのです。

亀田:わらと十字架を飾る国もありますね。

オジュグ:ポーランドでは、部屋の隅に麦の塊を飾り、収穫を願う人もあります。

クリスマスイブの食事では、パンを分かち合う(家族で楽しみを分かち合う)という意味で、オブラートを少し割り、おいわいのことばをかわします。(楽しいクリスマスをと)。

もう一度。「クリスマスの歌」を聞く。

オジュグ:クリスマスツリーの飾りは、今は99%がプラスティックですが、ポーランドでは、硝子技術の進化があり、硝子の特殊な飾りが発達しました。最初はとても価格が高かったようです。厚さは、1ミリもなく、口ふきの硝子で、透明な色をまず、塗ります。つぎにシルバーコーティングをして、いろいろな色を塗ります。変色もしないので、長く持ち、毎年買い足していきます。ツリーにつける金具も固定せず、離れるようになっています。

「硝子作り」の映像を見る。伝統芸術です。

自己紹介

Iさん:今日の映像を見ていたら、賛美歌でしょうが、口をあまり開けないと思いました。歌はとても好きです。オペラ風に口を大きく開けて歌うのかと思っていましたが、音はとてもよく響きます。先にいただいたこのクリスマス菓子のピエルニキのレシピから娘がお菓子を作ってくれました。明日のひまわり合同教室に持って行きます。このように何かを作ってくれると、家族のつながりを感じます。

H・Iさん:オジュグさんには、何年か前からGlobal Sessionに来てもらっているので、知っていますが、今回も来ていただき、ありがとうございます。「祭りも行事も衰退してきているのは、子ども達も楽しめていないのでは」というお話しが印象的でした。実際、自分の子どもの時には、正月などの習慣が楽しかったと思います。

M・Hさん:今日はとても楽しかったです。子ども時代を思いおこすと、終戦後の食糧難で、正月になると、ようやく良い服を着せてもらい、料理も用意してもらい、日本のこのような習慣は、満足度100%を越えていたと思います。22才か23才のころには、教会へ行き、賛美歌を歌っていました。ポーランドの聖歌のメロディも同じでしょうか?

M・Sさん:オジュグさんのファンです。お話しを聞くのが大好きで、哲学の専門と聞き、その話も聞いたことがあります。その影響か、昨年(2019年)の7月から8月にかけてポーランドへ行ってきました。クラクフも。ポーランド語もいいですね。今日も刺激をもらってうれしいし、感謝しています。長くこれからもお世話になります。

J・Nさん:Sさんと同じマンションに住んで居て、ポーランド旅行の話も聞いていて、その時からオジュグさんのことも聞いていました。ポーランドというと、ショパンの国くらいしか知らなかったのですが、今日、ポーランドの話を聞けて良かったです。私は、日本の正月などもあまりけじめをつけずに過ごしてきたのですが、今日のお話から、生きている私たちが大切にしなければと思いました。

Y・Hさん:(ドイツ後であいさつ)

私は、ドイツ・チェコは行ったことがありますが、ポーランドにもこれから行けるようになったら、行きたいと思いました。

C・Tさん:南つつじに住んでいます。主人と二人で住んでいますが、この先、短いのだからお互いの思いやりが必要と今になって気づきました。外国語である英語を学んでいますが、オジュグさんは、「やる気があれば伸びる」と言われましたが。日本語ばかりの中に住んでいて、外国語を学ぶのは、とても大変だと思います。気がついたのは、ちがう見方を味わうと気持ちが豊かになるということです。

オジュグさん:「外国語は大変」というのは、ふたつの意味があると思います。一つ目は「すごい」という意味であり、もうひとつは、「苦しい」で、「おもしろくない」「つまらない」という意味がありますね。楽しく学ぶことが大切ですが、努力も必要です。

C・Tさん:言われていることはわかるのですが、自分は力不足かなと。

オジュグさん:力と言いますが、身体はだれも同じで、やる気のちがいかもしれません。「おぼえられないわけはない」と自分を信じることが大切だと思います。

「人間にできる」ことは自分にもできるという自信を持つことです。ぼくの中国語学習もあまり進みませんが、本気を出していないのでしょう。

児嶋:今回のGlobal Sessionは、336回目になります。1999年から始め、大体月に1回のセッションを継続してきました。毎回お知らせとレポートを出していますが、楽しく続けていきたいと思っています。

S・Oくん:高校2年生です。横にいる児嶋さんの孫です。学校の外で勉強することも好きでよくやっています。電車の中でも本を読んだりしています。また、昨年、カナダに留学してその体験をしました。

亀田さん(コーディネーター):大津市に住んでいます。大津の西教寺は、明智光秀の菩提寺です。ツアーガイドをしていますが、コロナで楽しみが減ったのですが、ヨーロッパでも1年で一番楽しみにしていたクリスマスを家族で祝うことも満足にできなくて大変でしょう。昔から、クリスマスでは、ごちそうを食べて力をつけるという意味もあったようです。次の世代にも続けていくことが大切だと思っています。でも、オンラインでは、身近に感じることが少ないですね。

20年前にローマのクリスマスにガイドで行きましたが、バチカンでのローマ法王は、ポーランド出身の方でしたが、良いお声のスピーチがとても心に残っています。

クリスマスの訪問し、歓迎される用意ができているということが今日もとても心に残りました。

児嶋の作品(本物のピエルニキより大分小型です)

卵 1個・ 砂糖 60g・ 薄力粉 150g・  ココア 大さじ二分の1・ バター(食塩不使用)5g

ハチミツ 大さじ1杯・ タンサン 小さじ二分の1・ 水 小さじ 1杯

スパイス: クローブ 大さじ 二分の1・ ナツメグ  大さじ 二分の1・ シナモン 小さじ二分の1

作り方:

  • ボウルに卵と砂糖を入れ、よくすりまぜる。
  • ふるった薄力粉とココアを一度にざっくり混ぜる。

混ぜたら、他の材料も加える。

  • 均一な生地になれば台の上に取り出す。めん棒でのばす。
  • クッキー型でぬく。いろいろな形がある。
  • オーブンシートを敷いたオーブン皿の上に、並べて、焼く。オーブン調理 170度前後・ 約10分